客単価アップ!EC・店舗で客単価を増やす方法
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ラグジュアリーブランドからファストファッションに至るまで、アパレル業界のあらゆるセグメントにおいて、顧客の関心を引きつけて客単価を上げることは、業績を左右する重要な課題です。一人当たりの売上を最大化することは、単に売上高を伸ばすだけでなく、LTV(顧客生涯価値)を高めることにも貢献します。
この記事では、売上向上の鍵となる客単価アップのための施策をECサイトと実店舗のそれぞれに分けて考察し、長期的な視点から、どのように戦略を立てていくべきかを解説していきます。
客単価の計算式
客単価とは、1回の購入で顧客が支払う金額の平均を指します。客単価を上げることは収益性の向上に直結するため、事業の成長を加速させる上で重要な指標です。
客単価の求め方はシンプルです。売上総額を総顧客数(総オーダー数)で割ることで、客単価を算出できます。数式で表すと、以下の通りです。
たとえば、月間の売上が1,000万円で、その期間に1,000件の注文があった場合、客単価は1万円となります。
客単価の把握に加えて、顧客の購買パターンや商品のカテゴリ、プロモーションの影響など、多くの要因が客単価に絡むため、多角的に分析することが重要です。例えば、特定のプロモーション期間中の客単価の変動を分析することは、プロモーション施策の効果を評価するのに役立ちます。
客単価を単なる数値として見るのではなく、それを活用して顧客との関係を深め、LTV(顧客生涯価値)最大化に繋げることが、ビジネス成長を加速させる鍵となるでしょう。
客単価が下がる要因とは
企業の持続的な成長を目指す上で、継続的な客単価向上は欠かせません。単発のプロモーションに頼るのではなく、長期的な視点で戦略を練ることが、顧客価値とビジネス価値を同時に高めることに繋がります。
注意すべき要因は以下の通りです。
割引依存の顧客行動の常態化
顧客への大幅なクーポン提供や頻繁なセールは、短期間の売上やオーダー数増加が期待できますが、これらが常態化すると、顧客は割引がないと購買しなくなる可能性があり、結果的に中長期的な客単価を減少させる要因となりえます。
適切な顧客セグメンテーションの不足
異なる顧客セグメントに対して同様のマーケティング・アプローチをすることは、適切ではありません。顧客のニーズや行動を深く理解し、セグメントごとにカスタマイズされた戦略を展開しなければ、個々の顧客価値が最大限に引き出されず、客単価の減少に繋がる可能性があります。
このような注意点を念頭におきつつ、良質な顧客体験の提供、適切な価値提案、そして顧客エンゲージメントを高めるための継続的な取り組みは、企業が市場内で競争力を高め、持続的な成長を遂げるための基盤となります。
企業が取るべき戦略の一端には、緻密なデータ分析が欠かせません。継続的な改善を促すには、タイムリーに正確なデータを把握し、そのデータを効果的に活用して戦略を立てることが重要となります。
EC・店舗で客単価を増やす方法
ここでは、各販売チャネルで顧客の購買意欲をいかに引き出し、さらに客単価を高めるかについて探ります。
ECサイト
競争が激化しているECサイト運営においては、顧客の購買を促す実践的なアプローチが求められます。
ステップアップ割引・特典による複数アイテム購入や高額商品の注文を促進
購入すればするほど割引が大きくなるような魅力を設けることで、顧客は予定外の商品購入にも手を伸ばす気になります。同様に、一定金額以上の注文に対して割引や特典を提供することも、顧客にとって追加商品を購入する動機付けとなります。
一定金額以上で送料無料
追加購入で送料無料となる金額を顧客に提示することで、顧客がもう一品カゴに入れるきっかけとなります。ここで低価格商品のアプローチも効果的です。購入総額を少し引き上げるだけで無料配送となる選択肢を提供することで、迷っていた顧客の購買意欲を高めることができます。
限定商品や新商品の先行予約
限定や新商品の先行予約という特別感を提供することで「今しか手に入らない」という心理を利用し、購入意欲を掻き立て、他の商品と一緒にカートへ入れる効果も期待できます。
キャンペーンや割引だけではなく、集客力や商品の魅力を向上させること、トレンドに沿った品揃えなど、様々な要素が融合して初めて実現します。継続的な分析と改善により施策をブラッシュアップさせることで、客単価を増やし、売上アップに繋げることが可能となります。
実店舗
実店舗における客単価向上には、対面販売のメリットを最大限に活用することが求められます。
ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)の効果的な活用
テーマやスタイルを軸に関連商品の購入を促すディスプレイや、視覚的訴求を強化した売り場作りをすることで商品への関心を強化、さらなる購買活動へと誘います。
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接客の質向上
声をかけやすい環境や顧客のニーズを汲み取ったスタイリング提案など、ECでは得られない付加価値を顧客に提供することにより、客単価および来店の頻度が高まり、LTV(顧客生涯価値)を高める事にも繋がります。
バンドル販売
特定の商品グループをセット割引価格で提供し、顧客にとって魅力的な購入機会を生み出します。
例えば、特定の商品「3セットで1,000円」のようなオファーは、顧客にお得感を与え、複数購入を促すことで売上と在庫回転率の両方を高めます。
これらの取り組みは、販売促進企画に販売員を積極的に巻き込むことで店内の活気を高め、来店顧客に対する印象を改善します。最終的に、顧客との接点強化が購入体験を向上させ、客単価の増加に寄与します。
客単価アップを戦略的に実現するためには
客単価を持続的に向上させるには、データ分析による正確な効果測定と改善サイクルが不可欠です。販売戦略の策定、実施、そして評価の全プロセスにおいてデータを活用することで、その戦略の効果を最大化することができます。
意思決定を迅速かつ最適化するためには、多量のデータを素早く分析し、重要な情報を抽出するプロセスが必要です。そこでおすすめしたいのが、事業実践で培ったノウハウが蓄積された弊社ワールドグループの株式会社ファッション・コ・ラボが提供する分析ツール「SIMLES – BI」です。
「SIMLES – BI」は、WEBブラウザ上でリアルタイムに活用可能で、本来はこれまで客単価の計算などでデータ収集に割かれていた帳票作成の時間を、分析に充てることが可能となります。例えば、商品ごとの売上ランキングや、顧客が同時購入している商品をリアルタイムで確認することができると、ECや店舗それぞれ別の販売チャネルであってもそれに応じた施策を打つことができます。
「SIMLES – BI」の活用事例
「SIMLES – BI」は実際にワールドグループ全体で活用しており、経営層から現場スタッフまで、各レイヤー毎に必要なデータをワンツールでアクセスできることで迅速な意思決定が実現しています。
店舗の現場スタッフが実際に施策を打つ際には、商品軸BIの活用が役立ちます。
商品別売上・消化率・在庫・ピッキング可能在庫・発注残・仕入累計等が一目で把握でき、さらには品番別週次推移や指定した品番と一緒に売れている10品番などの具体的なデータも把握できます。これらのデータを活用し、店頭やECでの顧客へのセット提案やビジュアルマーチャンダイジング戦略を策定する際に迅速な意思決定が可能となります。リアルタイムで必要なデータが確認できると、客単価アップのための戦略をすぐに実行に移すことができます。
まとめ
この記事では、客単価の計算方法、客単価を下げる要因、そしてECサイトおよび実店舗での客単価を増やす方法に重点を置いて解説しました。
割引や特典に依存した計画的ではない施策は一時的な客単価アップや売上増加は期待できますが、LTV(顧客生涯価値)を高めるための持続可能で効果的な戦略には、継続的な分析と改善を行うことが大事です。
今回は、分析に役立つツール「SIMLES – BI」についてもご紹介しました。
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